2018年10月3日
コインパーキング設置に関する条例とは
観光地に遊びに行くと、全国展開しているコンビニの看板がいつもと違う色彩のときがあります。「同じ店だよね?」と一瞬とまどったことがある方も少なくはないでしょう。では、なぜ違うのかをご存知でしょうか?
【観光地では看板に細かな規制あり】
実は、観光地では景観を損なわないように、自治体の条例によって「看板類」にさまざまな規制が課せられています。歴史的建造物の近くに派手な原色の看板があれば、景観を損ない観光地のイメージを低下しかねません。そこで、美観や景観を保つために条例を作り、看板の色などを自治体が規制しているのです。
神奈川県屋外広告物条例を守るとともに、鎌倉市景観計画に従って、土地利用類型別または特定地区別に屋外広告物の表示、設置に関する行為の制限が定められています。
神奈川県、鎌倉市の屋外広告物の表示、設置に関する条例
https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/keikan/koukoku02.html
屋外広告物の設置(予定)場所がどの区域に該当するかを調べた上で、設置看板のデザイン・色などを決めることになり、鎌倉市都市景観課と事前協議が必要になります。
鎌倉市サイトに景観に配慮した看板例が掲載されていますが、「地と文字の色を反転する」「落ちついた色彩にする」「鮮やかな部分の面積を少なくする」「文字など建物と一体となったデザインとする」などが要求されます。
ショウワパークの看板(鎌倉市)
http://www.shouwapark.co.jp/spot/kamakura/
コインパーキングも例外ではありません。通常は黄色い看板を目印にしているショウワパークも、鎌倉市では景観計画に合わせた特別デザイン(白色)の看板を使用しています。
【観光地コインパーキング!土地利用を確認しよう】
さて、看板類にまで細かな規制があることからわかるように、観光地のコインパーキング開業は、他地域に比べてハードルが高いです。観光地以外、商店街など地域の特色を生かした「まちづくり」をしている地域でも同様です。
「コインパーキング設置に関する条例」を持つ自治体は全国に多数あり、各自治体によって条例の内容は異なりますので、ここでは、弊社のコインパーキングがある神奈川県鎌倉市の条例(平成30年11月現在)を例に説明していきます。
鎌倉市内でコインパーキングを作る場合は、鎌倉市条例第10号「鎌倉市特定土地利用における手続及び基準等に関する条例」に基づいて、申請や手続きをしなくてはなりません。
まず、コインパーキングを開業しようと考えている用地の土地利用を調査しなくてはなりません。「条例適用のコインパーキングについて(第2条)」から、条例適用される駐車場は、次の3つを満たしているものとなります。
・24時間の営業であること。
・不特定多数の人が利用できる部分があること。
・出庫時に利用した時間の料金を払う仕組みのあるもの。
さらに、コインパーキングには立地基準(26条)があり、次に掲げる区域等を含む場合はコインパーキング設営が認められていません。
・神奈川県自然環境保全条例 第2条に規定する自然環境保全地域
・首都圏近郊緑地保全法 第3条第1項に規定する近郊緑地保全区域
・都市緑地法 第12条第1項に規定する特別緑地保全地区
・古都における歴史的風土の保全に関する特別措置法 第4条第1項に規定する歴史的風土保全区域
・森林法 第25条又は第25条の2の規定による保安林の指定に係る土地及び同法第41条に規定する保安施設地区
・農業振興地域の整備に関する法律 第8条第2項第1号に規定する農用地区域
・文化財保護法 第109条第1項、神奈川県文化財保護条例 第31条第1項又は鎌倉市文化材保護条例 第41条第1項の規定により指定された史跡名勝天然記念物の保全に特定土地利用による影響が生ずるおそれのある区域
これらの土地利用区域以外であれば、コインパーキング設営の手続きに入ることができます。
【観光地コインパーキング!まちづくり条例に基づく手続き】
鎌倉市のまちづくり条例に基づく手続きが必要になり、事前相談(第10条)~特定土地利用基準適合審査の申請(第21条)まで一連の手続きを踏む必要があります。大まかに説明しますと、まず相談が必要である課に出向いて相談し、アドバイスを受けながら必要な対策を施していきます。現場では標識を設置し、近隣の住民へ説明をして許可を得ます。その後、市と改めて協議して、設営基準が満たされているかを最終的に判断、確認してもらう手続きを行います。
- 事前相談(第10条)
- 事前相談報告書の提出(第11条)
- 標識設置の指示(第12条)
- 標識の設置(第12条)
- 標識設置の届出(第12条)
- 近隣住民等への説明(第13条) ・ 周辺住民等の説明要望(第16条)
- 近隣住民説明実施報告書の提出(第14条) ・ 周辺住民等への説明(第16条)
- 近隣住民説明実施報告書の確認(第14条) ・ 計画公開等結果報告書の提出(第17条)
- 計画公開等結果報告書の閲覧(第18条)
- 計画公開等結果報告書の確認通知(第19条)
- 特定土地利用協議申出(第23条)
- 市長との協議(第23条)
- 協議結果通知書の交付(第24条)
- 特定土地利用基準適合審査の申請(第21条)
- 特定土地利用基準の適合審査(第21条)
- 特定土地利用基準適合確認通知書の交付
設営が認可された後は、工事着工に必要な届け出を出してから工事に入ります。
17.行為着手の届出(第34条)
18.行為完了の届出(第34条)
19.行為完了審査の申出(第36条)
20.完了検査(第36条)
21.完了検査通知(第36条)
多くの手続きの段階を経て工事も終了し、完了検査通知の発行後、ようやく晴れてコインパーキングのオープンとなります。事前相談(第10条)から完了検査通知(第36条)までの手続きは、早くても半年、長いと1年はかかります。
このように、観光地でコインパーキングの設置許認可を取るのはハードルが高いとともに労力がかかります。よほど、一連の法規や手順に知識や経験がある方でなければ、専門家に任せたほうがスムーズに手続きを進めることができます。弊社ショウワパークは長年、観光地はじめ諸手続きが複雑な自治体にコインパーキングを多数設営してきましたので、安心してお任せください。知識と経験豊かなスタッフが、土地利用の調査から検査完了通知まで一貫してお手伝いします。
【観光地でのコインパーキング運営は最強です】
観光地でコインパーキングを運営したい!と考えていたけれど、これほど手続きが複雑であるのを知ると、あきらめようかと思われる方もいることでしょう。でも、ちょっと待ってください。観光地でのコインパーキングは、下手な駅近パーキングよりも収益が安定する場合が実に多いです。そもそも観光地には大勢の人が訪れますので、季節によっては、どこのコインパーキングも満車で、観光地外にいったん車を止めてから公共交通を使って観光地に遊びに来る方もいるくらいです。
また、車で来訪される多くの観光客に、自治体にお墨付きをもらったコインパーキングを提供することは、地域貢献にもなり、やりがいのある仕事とも言えるでしょう。
「用地を有効利用したい。」「コインパーキングはどうだろう?」
「でも、条例があって設置がむずかしそう。」
このような検討やお悩みを抱えている方は、ぜひとも弊社にご相談ください。
相談したからといって、すぐにコインパーキング設営の一連の手続きに入るわけではありませんのでご安心ください。まずは、どのようなことでもお気軽にご相談下されば、経験豊かなスタッフが時間をかけて丁寧に対応させていただきます。
成功ポイント
・コインパーキングをつくる時は、まず自治体の条例を調べましょう。
・条例がある場合は、手続きに時間と労力がかかります。
・観光地のコインパーキングは収益が安定する場合が多いです。
・実績のある運営会社に相談するとスムーズで安心です。